抗CD4抗体によるがん治療計画について
(東大発ベンチャー企業として)

弊社の事業の柱は、ヒトの体内で外敵から体を守る免疫力を活性化しがんを治療しよう
とするがん免疫療法の一つです。
この治療に係っているのが体内で免疫の司令塔と言われている、CD4細胞という
白血球の一種で、一般的にはヘルパーT細胞と呼ばれるものです。
このCD4細胞を一時的に体内から除去することで、高い治療効果を期待するものです。
今までの免疫学の認識を超えた画期的な治療と言われており、我が国発の革新的
新薬開発の一つとしての期待を受けております。

 

基礎情報


そもそもヒトはなぜがんになるのか?


・ヒトの体は約60兆個の細胞で構成されていると言われる。
・その約2%が新陳代謝で毎日新しく生まれ変わっている。
・1つの細胞には、30億文字分(百科事典20巻分)の情報がある。
・それを1文字たりとも間違えないでコピーをして、細胞は分裂し続けて行く。
・分裂時のコピーミスは完璧には抑えられないと考えられる。
・その結果、毎日数千個のがん細胞が、全てのヒトの体内では発生している。


以上の様に一般的に理解をされています。

・そのがん細胞からヒトの体を守っているのは、体内の免疫システムです。

ヒトの免疫について以下で簡単にご案内致します;
免疫を担当する細胞として、ヒトの血中の白血球があります。

・白血  @単球:マクロファージ
      A顆粒球:
      Bリンパ球:@:NK(Natural Killer)細胞
            A:B細胞
            B:T細胞: a:キラーT細胞
                    b:ヘルパーT細胞(=CD4細胞)


・体内に生じたがん細胞に対する攻撃は、主に3つの免疫細胞が行います。
       マクロファージ
       NK細胞
       キラーT細胞(CD8細胞)

ヘルパーT細胞(=CD4細胞)の本来の役割

免疫の司令塔の役割をする細胞で、キラーT細胞(=CD8細胞)に命令を出します。

 

T:CD4細胞(ヘルパーT細胞)とは

@:CD4細胞の役割
  ・白血球の一種であるCD4細胞は、本来外部からヒトに侵入したウイルス等の敵に対して
     そのヒトを守る免疫として重要な役割を担っています。体内の免疫機能に対して指令を
     出すことから、免疫の指令塔と言われています。


A:抗CD4抗体とは
  ・そのCD4細胞を殺傷する能力を持つのが、当社が開発する抗CD4抗体です。


B:何故ヒトを外敵から守る細胞を殺傷する必要があるのか?
  ・CD4細胞は、重篤な病気を引き起こしてしまう意外な原因となっています。
    たとえばがんです。以下で説明します。

U:抗CD4抗体を、がん免疫療法に使用します。


@:弊社は国立がん研究センターと、がんの免疫療法について共同研究を実施いたしております。

  現在は前臨床中であり、臨床第T相試験の開始に向け準備を進めております。
   (国内での臨床試験を準備中です。)

  =がん患者は常に免疫不全の状態にあります。米国の研究等により、体内の免疫である
    CD8細胞(キラーT細胞)やNK細胞を活性化させると、その免疫効果ががん患者の治療に

    有効であることが知られております。


  =ところが、その免疫不全状態で活動するのが、CD4細胞なのです。
    がん細胞は自分が免疫の攻撃対象ではないと免疫に思わせることで、免疫からの
    攻撃から免れようとします。この動きにCD4細胞が係っていることが明らかになっています。
    こういった状態を「免疫抑制」の状態と言います。


  =そのために体内のCD4細胞を一時的に減少させることで、よりCD8細胞等の活性が進むことが

    解かっています。これを「免疫抑制の解除」と言います。
    弊社のマウス実験では、抗CD4抗体によってCD4細胞を一時的に除去すると、マウス体内の

    CD8細胞の数が大きく増加し、なお活性化することが解かっています。

  =弊社の抗CD4抗体によって一時的にCD4細胞を除去することで一段と免疫療法の 効果を高める

    事が出来て、さらに他の抗がん剤との併用による効果等も期待できます。

  =弊社によるマウス実験では、現在、がん免疫療法として注目を集めている抗PD1抗体等の免疫

   チェックポイント阻害剤との併用で高い抗腫瘍効果が示されています。
   (同じく弊社ホームページ内に添付の論文要旨(英文)を参照ください。)

V:協和発酵キリン社が開発した抗CD4抗体を弊社へライセンス供与された背景


  ・協和発酵キリンは東京大学医学系研究科の松島綱治教授に対して、同社で開発をした 
   抗CD4抗体をライセンス供与することになり、松島教授他(下記を参照ください)
   で弊社の設立を進め、2012年4月にIDACセラノスティクス株式会社が誕生し、
   文京区本郷の東京大学構内に本社を開設しました。
   (ユーグレナやぺプチドリームを輩出した、東京大学アントレプレナープラザ内)


  ・2012年8月に協和発酵キリンと弊社間にて「抗CD4抗体」独占的使用権の契約が締結されました。


  ・弊社のみが協和発酵キリンが開発した「抗CD4抗体」の独占的使用権を保持します。

                                                              以上

 

                                IDACセラノスティクス株式会社
                                 主たる会社創業メンバー

                                ・伊藤 哲 代表取締役社長兼臨床開発本部長、最高経営責任者
                                ・小西 泉 代表取締役兼事業管理本部長、最高執行責任者
                                ・松島 綱冶 弊社科学顧問会議議長、東京大学大学院医学系研究科、教授
                                ・柳川 弘志 弊社科学顧問会議メンバー及び弊社研究主幹、慶応大学訪問教授